どのようなものですか?
日常生活においては、常に心の内面と行動が一致しているとは限りませんが、法律行為において、心の中とその表示が異なりますと大変な混乱を引き起こしますので、民法ではその取り扱いについて規定しています。
「心裡留保※」というのは、本当の気持ちとは裏腹に、心にもないことを言うことをいいます。
例えば、普段の付き合いの中では、冗談や軽口で「ここにある商品を全部買ってやる」などと公言することがよくありますが、言っているほうはこれが冗談であることを自覚していても、相手にはもし本気に受け取られたらどうなるでしょうか?
この「心裡留保」で、契約をめぐり裁判になることもあります。
この場合、本気ではなかったのに、相手が真に受けるようなことを表示してしまうと、これは有効になります(93条本文)。
これは、もしそうしないと、口から出まかせのデタラメや、いかにも本当らしいウソをつく人間を保護することになってしまうからです。
ただし、相手が本当の気持ちをわかっている場合や、一般常識で判断できる場合、例えば、酒の席での発言などは無効になります(93条但書)。
※この「心裡」とは心の中という意味です。 |