賃貸物件の壁が薄いと苦情が出たら?
例えば、家賃収入を得ようと賃貸アパートを建築し、部屋を賃貸に出したところ、住人から「壁が薄すぎて隣の部屋の話し声が聞こえるので、もっと暑い壁に取り替えてくれ」というような苦情が出たようなケースです。
このような苦情を受けた場合、家主は修繕を行わなければならないのでしょうか?
民法第606条では、次のように規定しています。
⇒ 「賃貸借契約の締結時にもともと設備されているか、あるいは設備されているべきものとして、契約の内容に取り込まれていた目的物の性状を基準として、その破損のために使用収益に著しい支障の出た場合には、賃貸人がそれを回復する義務がある」
つまり、この法律に従えば、契約時に取り付けられた物などが壊れた場合には、家主が修繕を行わなければなりませんが、初めからあったものの質を上げろという要求については、借り手の権利とはいえないということです。
なので、壁が薄いからという苦情については、部屋の壁は賃貸契約をしたときにもともとあったものですし、別に壊れていたわけではありませんから、家主が修繕する義務はありません。
家賃が相場よりも高い場合は?
とはいえ、家賃が相場よりも高いのに隣人のひそひそ声まで聞こえたり、普通に歩いても音が響くなどの問題があった場合には、借りている側の要求が通ることもあります。
要するに、高い家賃で壁が薄いのであれば文句を言うのも当然ですが、安アパートであれば多少の騒音は我慢しなければならないということです。
なお、この判断は、家賃と設備との兼ね合いによるものです。 |