眺望権というのは認められるのでしょうか?
ある場所から見える眺望というのは、その場所の価値を増加させます。
具体的には、リゾートホテルでもオーシャンビューの部屋と山側の部屋とで室料が違うのは、眺望に価値があるからです。
このように眺望に価値があるというのは、世間一般に認められていると思われます。
しかしながら、その眺望が害されたときに、それを排除したり、損害賠償できるのかということは別問題となります。
判例ではどう判断されていますか?
東京都国立市で高層マンションが建築されようとしたときに、付近の住民たちが建物の収去を求めた訴訟では、東京地裁は、高層マンションが眺望を害するとして建物の一部取壊しを命じています。
ただし、判例では、一般的に眺望権を認めているわけではありません。
つまり、判例は、「ある地域で地権者らによって特別の景観が保持され、社会通念上もその特定の景観が良好なものと認められ、その土地に付加価値を生み出した場合には、その景観を自ら維持する義務を負うとともに、その維持を相互に求める利益がある」としているであり、一般的な眺望権を認めているわけでなないということです。
しかも、この事件は控訴されていて、東京高裁では、端的に「眺望権は認められない」として、上記の東京地裁の判断を覆しています。
よって、現在の判例の考え方は、眺望権という法的の権利は認めていませんので、眺望を理由とした請求は認められないといえます。
景観法とは?
景観法というのは、平成16年6月11日に成立したものですが、これは、良好な景観の形成の促進を目的とするものであって、それを国政の課題と位置づけられているものです。
ただし、この法律も直接的に住民の眺望権を認めているわけではありません。 |