手付金と内金とはどのような違いがあるのですか?
次のような例で考えてみます。
■衣料品メーカーの経営者であるXさんは、Yデパートとの契約がまとまり3000万円分を受注した。
■5回に分けて納入することになり、手付金として600万円を受け取った。
■ところが、2回目の納品が済んだところで、突然、契約の解除を言い渡された。
このようなケースの場合、すでに3回目に納品する製品の製造は始まっていますし、今さら契約を解除すると言われても困ってしまいますが、手付金を受け取ってしまったのはまずかったのでしょうか?
まず手付金についてですが、これは契約者の一方がその契約の履行を始める前であれば、何ら理由がなくても契約を解除することができます。
手付流れ倍返しの原則とは?
手付流れ倍返しの原則というのは、買主が契約を終了したいのであれば、手付金を流せばいいし、売主のほうが止めたければ、手付けの倍額を提供すればいいというものです。
上記の例では、すでに手付金を受け取ったことを気にしていますが、すでに契約の履行が始まって生産しているのですから、Yデパートは手付け放棄による契約の解除はできないことになります。
なので、Xさんとしては、たとえ契約の解除を言い渡されたとしても承諾しなくていいということになります。
また、先方がその手付金を契約解除のペナルティにあてると言ってきたとしても、解除の申し出を受け入れる必要はありません。
内金の場合はどうなるのですか?
もし「手付金」ではなく「内金」の場合には、上記のようにはいきません。これは、当事者双方ともに、法律上の解除原因がなければ、契約を止めることができないからです。
なお、手付金と内金にはこのような違いがありますので、契約の解除を避けたいのであれば、当初にお金のやり取りをする際に、「手付金」ではなく「内金」としておいたほうがよいということになります。 |