民事訴訟で勝訴しても家賃を滞納し続け支払い要求に応じないのですが…
民事訴訟で勝訴の判決が下されたときは、当然のことながら、被告に対して、訴えに応じるよう命じることができます。しかしながら、必ずしも被告が素直に応じるとは限りません。
このような場合、法律上は、被告である者が家賃を支払わないからといって、強引にその人の部屋に押し入り、家賃や宝石など、家賃の代わりになりそうなものを奪うといった手荒な真似は許されていません。これを「自力救済禁止の原則」といいます。
つまり、いくら原告が勝訴したとしても、やくざ者の真似をして、相手の財産を奪う権利はないということになります。
では、どうやって取り立てたらよいのですか?
せっかく裁判までやったわけですから、このような場合は、裁判所という公的な力を利用するようにします。
具体的には、原告が「被告は原告に金○○円を支払え」という判決に基づいて、裁判所または執行官に申立てをすると、国の機関である裁判所は、訴えに応じない被告から、強制的に財産を取り上げてくれます。
ちなみに、この権利は「民事執行法の強制執行」といって、「金銭の支払、物の引渡しその他の給付を命ずる判決は、執行力のある債務名義※となる」と規定されています。
つまり、裁判で「金を支払え」という判決が下されれば、法に沿った強制的な取り立てをしてもらえるということです。
※債務名義というのは、強制執行によって実現される請求権の存在・範囲を証明する公の文書のことをいいます。 |