不動産の法律ガイド



通行権の時効取得は認められるかについて

所有者の厚意で通行できている場合

通行権はなく、所有者の厚意などで通行できているにすぎない場合には、所有者は、その道路を通行させる何らの義務も負っていませんので、通行できなくすることも可能です。

よって、原則として、通行していた人が、その妨害を止めるよう請求することも認められません。

といっても、20年間通行していた場合には、通行権の時効取得が認められる場合があります。

ただし、最高裁は、通行権の時効取得が認められるためには、自ら通路を開設することが必要であるとしています。

つまり、20年間通行していたというだけでは、当然に時効取得が認められるわけではないということです。

これは、所有者が厚意で長年通行を黙認しているということはよくあることなので、それを通行させる法律上の義務にまで高めることは、厚意で通行を認めてきた所有者にとっては酷であるという判断があってのことだと思われます。

ちなみに、実際、50年間も公道に通ずる通路を利用してきた付近の居住者数十名が、通路の新所有者に対して、通行権の時効取得などを主張した裁判では、通行権を認めなかったという判例があります。


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